今年(2014年)の曲への思い(こみ)

2015年05月06日 23:17
2014/03/13記

今年の曲も決まったのでCDを買って聴いてみたという方もおられるのではないかと思います。ここでは曲が決まった背景や私の思いなどを少しばかり書 いてみました。なお、選曲の最終決定権は団長にあると思っておりますが、私も相当口を出したので責任は免れないか、と考えています。

今年の曲は昨年よりもオタマジャクシの数は多いように思います。また、ブラームスやワーグナーは、リズムや音型が難しいところもあります。特に弦は 人数も少ないですし、ブラームスってなんだかよくわからない、なんていう方も少なくないのではないでしょうか。今年はその分、早めに弦の分奏をスタートし たいと考えます。曲は難しくてもじっくり時間をかけて取り組めば問題はありません。難しい曲を理解して弾けたときの満足感は大きいと思いますし、わかって 弾けば音も出てくるというものです。管のほうはあまり心配をしていません。体を鍛えておいてね、というところでしょうか。

ワーグナー タンホイザー序曲

昨年マイスタージンガーの前奏曲をやる話がありましたが、私の希望で(演奏時間が長いという理由で)削除してもらいました。しかし管が充実している 今がワーグナーのやりどきでもありますので、今年タンホイザーという話を聞いたときに「いいんじゃないか」と回答しました。タンホイザーは以前木村先生も 推薦していましたからやりやすい曲なのかもしれません。当楽団では初めてのワーグナーです。その独特の世界を楽しんでみたいと思います。 なお、タンホイザーにはいくつかの版がありますので、お持ちのCDと楽譜が違う(全く違うということはないですけど)、という可能性があります。

ブルッフ バイオリン協奏曲 第一番

ソロバイオリンは見かけ(聴きかけ)以上に難しい曲だと思います。しかし曲の構成は素直でリズムも古典的なものなのでわかりやすい曲です。オーケス トラはテクニック上の問題はあまりないように思います。曲はジプシー風といいますか、典型的なクラシックとは少し違ったムードがあります。日本人には共感 しやすいところもあるのではないでしょうか。 ソロはもちろん小林佐知さんです。よろしくお願いします。

ブラームス 交響曲第3番

交響曲1番は一度やりました。4番はとても難しい曲だと聞いています。従って、ブラームスで選ぶとすれば2番か3番ということになるな、と思ってい ました。 一部管の方には2番を推薦されたこともありましたが、最終的に私が「3番の方がやりやすいだろう」と言ったのが3番に決まった理由かと思います。しかしさ すがにブラームスで、地味なようでいてやるほどに味が出る曲だと思います。そこここに1番と似た音型もあってちょっとなつかしい気分にもひたれます。重厚 な和音を作るうえでは管の力が必要です。出番は少ないですがトロンボーンなどにも聞かせどころが用意されています。オーケストラ全員の力が合わさってはじ めてできる曲だと思いますので、ブラームスはきらい、という方もいやがらずに練習に参加してくださるようにお願いします。きっとどこか光るものを見つける ことができると思います。 ブラームスは難解、という方もおられますね。特に交響曲はたくさんの音を重ねていて、いつもどこかが鳴っているようなところがある。各パートだけ取り出す と何をやっているのかわからないんだけれども、全体を重ねるとしっかりとした構造物が見えてくる。従って個人練習で曲をイメージするのは難しいでしょう。 真面目に個人練習をする方は、「だからブラームスはいや」といわれる。 しかし、その厚い和音の美しさや、際限なく続く場面の展開など、わかってくるとブラームスはとても楽しいと思います。演奏者全員が楽しめるところまで行き たい、というのが私の願いです。

ワーグナーとブラームス

この両人はほぼ同じ時代に生きた人です。当時楽壇ではワーグナー派とブラームス派が対立していました。解説を読みますと、戯曲という標題音楽を主と し、パワフルでエネルギーに満ちた作風のワーグナー、オペラを一曲も書かず、純粋音楽(という言い方があるのかどうかわかりませんが)に徹したブラームス という分類を見ることがあります。しかし私にはブラームスにもワーグナーに負けないエネルギーを感じますし、彼の歌曲などを聴くと、これは一種の標題音楽 だろうと思えます。そうスパッと分けてしまえる二人でもないのです。 ワーグナーはとにかくその突き抜けた音のエネルギーがすごいですね。ワーグナーは自分の思うオペラ(楽劇)をやるために劇場まで作ってしまったような人で すから一種の気違いだとも思えます。一方ブラームスはクララシューマンとの三角関係などでも身を慎んで他人に気を配るようなところを見せています。でもそ うとう皮肉屋だったともいわれています。 今年はこのワーグナーとブラームスの両方を賞味できる貴重なプログラムになりました。皆さんははたしてワーグナー派でしょうか、それともブラームス派で しょうか。演奏してみて好みが変わる可能性もありますね。私も皆さんが今年の曲にどう反応するかを見るのを楽しみにしています。