記事のアーカイブ

第二バイオリンのこと

2015年05月14日 21:48
これはごく最近発見したことである。 従って十分検証されていないうらみはあるのだが、あまりに劇的に発見したので間違っていてもかまわないから書こうと思った。 モーツアルトのカルテットを支えているのは実は第二バイオリンなのである。 第二バイオリンに「遠慮せずにどんどんやれ」と言ったら、音楽が変わったのである。本当に新鮮で美しいモーツアルトができあがった。...

驟雨

2015年05月14日 21:47
大富橋の方から夕立が来るのが見えた。 広い三目通り(みつめどおり)には車がまばらである。お盆の時は東京からたくさんの人が流出して、帰る所のない東京っ子だけがさびしく取り残される。 さっきまで晴れていたので傘を持っていない。車道と歩道の境目のあたりからしぶきが上るのが遠目に見える。あと数分もすればどしゃぶりの中に取り込まれるであろう。見渡したところ、借りられそうな軒先もない。 工業高校の正門のところに電話ボックスがある。そこにとりあえず避難することにした。 東京の夕立は激しいが、少し待てばかならずやむので、雨宿りの場所さえあればそう困ることはない。電話ボックスで雨が上がるのを待つ。 水煙にとりか

蝶談義

2015年05月14日 21:45
だらだらと蝶談義をしようと思う。 私たちの年代は、たいてい小学校の低学年のときに植物採集か昆虫採集をやらされている。植物と昆虫とどちらと言われて昆虫採集を選んだのは、ファーブル昆虫記を何度も読んでそのすばらしい虫の世界に魅了されていたことも原因だったか。 私の通った小学校は東京都内にあったが、低学年のころはまだ川にめだかが泳いでいたし、植物や昆虫を見つけるのに苦労はいらなかった。木登りに最適なイチョウの木があり、そこに登るのはジャングルジムに登るよりもずっと楽しかった。そんな時代である。 さて、小学校のうちは虫と言ってもやっぱり蛾や蜂なんかはごめんをこうむりたかったので、自然と蝶に興味が向いた

Kさんの思い出 (突然あの世に行ってしまったKさんに捧げる一文)

2015年05月14日 21:44
あるとき、自転車を肩に載せて深山公園まで歩いて登ったことがある。行き交う人たちには自転車泥棒か、もしくは故障した自転車を担いでいる気の毒な 人と写ったであろう。あんまりみっともなかったので、これは一回限りでやめてしまったが、もとはといえばKさんがさそってくれた北アルプス行きの事前のト レーニングのつもりであった。そんな自前のトレーニングをKさんはおおいに褒めてくれた。トレーニングの甲斐があって、無事に二泊三日の山行きをこなすこ...

スリランカの楽団

2015年05月14日 21:44
仕事でスリランカへ行った。 高級ホテルを安く契約してもらって宿泊した。 やけに広いロビーの片隅にピアノが置いてあって、毎夕ピアニストや小さな楽団が来て演奏する。ロビーが石の床で回りがガラス張りということもあり、響きすぎて音楽的には良い環境ではない。 60歳を超えていると思われる年寄りのピアニストがバンドマスターをしている、バイオリン、クラリネット、ユーホニュウム、フルート、コントラバスというなんだかよくわからない編成のバンドが出演する。 このバンドにときどき女性のバイオリニストが数名加わる。この人たちのボウイングや音色は大変しっかりしていて、基礎ができていることをうかがわせる。 演奏曲はもっぱ

老婆

2015年05月14日 21:43
会社の若い人たちからボウリングに誘われた。 めずらしいことではある(事実それ以降一度も誘われたことはない)。 会社からボウリング場まで自転車で15分ほどのものである。右手に海を見ながら広い道路を行くとやがてトンネルをくぐる。トンネルの手前は下水処理場でそのあたりには民家がない。対向車がスモールライトを点灯する刻限になりかかっていた。 自転車で歩道を走っていくと向こうから一人の老婆がとぼとぼと歩いてくる。たそがれ時で表情は見えなかったが車道を歩いている。いったんは通り過ぎたが少し異常なものを感じて引き返した。 「どうしたんかの」 と問い掛けるとなんだかもごもごと要領を得ない。が、ひどく疲れている

プロ

2015年05月14日 21:42
自転車で岡山の町へ遊びに行ったときのこと。 気がつくと歩道に人が倒れていた。そばに自転車が転がっている。 この通りは車の往来が激しいが、歩行者は比較的少ない。 自転車を止めてそばへ寄る。よくわからないが、胸を指してなにか言う。何かをとってくれと言っているようである。耳を寄せて男の言うことを聞く。胸のポケットを指すのでそこから定期入れを出す。そのなかの薬を飲ませてくれ、ということらしい。 自分のおやじがニトログリセリンを持って歩いていたので、意味がわかった。一錠を飲ませてやる。 しかしどうも回復しない様子である。このあたりから私もだいぶ不安になってきた。そこへ、なんだか水商売風でやや派手なネクタ

ウォーターハウス先生のこと

2015年05月12日 23:15
恩師の佐藤先生はなかなかよくしゃべる方である。学術的なことから、スポーツ、文芸に至るまで、御自分の意見を持っておられ、他の人も先生と同様に 基礎知識があるものと信じておられるような調子で話される。いったん言葉が出ると途中で口をはさむのはなかなかむずかしい。それだけおしゃべりでありなが ら、決していやみでないのは、佐藤先生の人柄とともに、話される内容が濃いことによるのであろう。 あまり会話が得手でない私のような人間にとって、佐藤先生と会話で対抗するのは、はなからあきらめざるを得ない。ましてやスポーツや専門知識などは...

指揮者に要求される能力

2015年05月12日 23:14
このことについては過去にも書いたことがあるが、未だに「わかった」といえるようなものではない。しかし、現実に指揮をしなければならない以上、時々はきょろきょろとあたりを見回して、情報を集めるようにしている。 最近これに関する面白い書籍を手に入れた(「名指揮者があなたに伝えたいこと・100のリーダーシップ」千蔵八郎著、春秋社)ので紹介してみたい。この書は、指揮者の箴言集といった性格を持っていて、無理やり統一見解を出そうとしていないところが成功している。 この本の趣旨には反することだが、最大公約数的な意見をまとめると次のようになる。 人間関係こそが大切。 指揮者にとって一番手を焼くのは楽員の反抗

SCOのふしぎ(その8) 規約がなくても大丈夫?

2015年05月12日 22:42
前章、「SCOのふしぎ(その7)安上がりに済ますには」、で触れたように、SCOには規約というものがない。前章ではSCOの運営を 長屋の花見に たとえた。長屋の花見に規約がないのはまあ普通だろう、と、言ってしまえばこの章はそれで終わりであるが、それではあんまり無愛想だからもう少し詳しく書 く。 正確に言うと、SCOには成文化された規約はないが、不文律はある。そのもっとも重要な部分は、「社会人として責任のある行動をとるこ と」である。...
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